たかひら正明と見つめる岸和田

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徴用工問題で、河野太郎外相が、強制徴用被害者に個人請求権があると認めた

戦時中に朝鮮半島から動員された韓国の元徴用工への賠償については、

10月30日に韓国の大法院(最高裁に相当)が「元徴用工」に対して、計4億ウォン(約4000万円)の支払いを命じた判決に続いて、韓国の元徴用工5人が、三菱重工業を相手取り、慰謝料の支払いを求めた損害賠償請求訴訟の差し戻し上告審で、韓国大法院(最高裁)は11月19日、同月29日に判決を言い渡すと発表した。

 

この問題、当初は安倍ちゃんもいきり立っていたが、

徴用工問題で、韓国大法院に噛み付くのは、「日本の現代史すら忘れてんのか!」と言われかねん話
http://mitumerukisiwada.seesaa.net/article/462600555.html

で示したように、

日本政府は、柳井俊二・外務省条約局長答弁で、

①1991年8月27日 参院予算委員会

(日韓請求権協定で)

いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない。

 

②1992年2月26日 衆院外務委員会

この協定におきましてはいわゆる外交保護権を放棄したということでございまして、韓国の方々について申し上げれば、韓国の方々が我が国に対して個人としてそのような請求を提起するということまでは妨げていない。

と二度に渡って、「個人請求権は消滅してない」としている。

 

また、日本の裁判所も企業もその政府答弁に従い、慰謝料支払いはしている。

 

これについて、ようやく安倍政府も勉強し直したのか、河野太郎外相が、強制徴用被害者に個人請求権があると認めたと報道がなされた。

 

河野外相「個人請求権は存在」告白…もつれた日本政府の論理 ハンギョレ新聞

http://japan.hani.co.kr/arti/international/32130.html

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
11/17(土) 8:13配信

 

これはヤフーニュースでも掲載されている↓
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181117-00032130-hankyoreh-kr

「韓日協定で完全解決」主張したが追及受けるや「請求権は存在する」告白 

「しかし賠償判決は受け容れられない」詭弁

「国際常識に反する」という指摘が多い


 河野太郎外相が、強制徴用被害者に個人請求権があると認めた。日本の閣僚が先月30日、韓国最高裁(大法院)の損害賠償請求事件の判決以後、個人請求権が存在すると発言したのは今回が初めてだ。

 14日、穀田恵二日本共産党議員が衆議院外務委員会で日本政府も個人請求権の存在を認めて来たのではないかと尋ねると、河野外相は「個人請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と答えたことが、16日に一歩遅れて確認された。

 穀田議員は三上正裕・外務省国際法局長に、韓国の判決で原告が要求したのは未払い賃金の請求ではなく、植民支配と侵略戦争に直結した強制動員への慰謝料だとしていると指摘した。穀田議員は、1992年当時、柳井俊二・外務省条約局長が「(韓日協約により消滅した韓国人の『財産、権利及び利益』の中に「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」と話した点も指摘した。彼は「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」と問い詰めた。三上局長は「柳井局長の答弁を否定するつもりはない。権利自体は消滅していない」と答えた。

 しかし、日本政府が個人請求権を認めるということは、その意味が何度も変わり、今は「個人請求権はあるが裁判を通じて権利を行使することはできない」ということに整理された。河野外相はこの日の答弁で「韓日協定で日韓間の請求権問題は完全かつ最終的に解決された」という既存の主張も繰り返した。三上局長は「(韓日協定の意味は)請求権はあっても、法廷に行って救済を受けることはできないと約束したこと」と答えた。

 このように日本政府の個人請求権に対する“解釈”が矛盾し言葉遊びに近づいたのは、過去に自国民の被害と関連して出した立場が困難に陥るためだ。日本は、1952年にサンフランシスコ講和条約を通じて連合国に対する賠償請求権を放棄した。すると原爆被害者が、日本政府が請求権を放棄したせいで救済を受けられなくなったとし、損害賠償請求訴訟を起こした。日本政府は、個人請求権自体は消滅していないので日本政府が賠償することではないとし、責任を回避した。また、講和条約で放棄したのは個人請求権でなく、自国民の被害に対して国家が請求できる「外交的保護権」だけだと説明した。

 日本政府としては、自国民にこうした立場を明確にした状況であるために、韓国人に対しても韓日協定を理由に個人請求権が消滅したとは主張し難くなった。こうした状況で、中国人と韓国人の被害者が訴訟を起こすと、日本の裁判所は苦しい論理まで作り出した。日本の最高裁判所は、中国人が出した訴訟に対して、2007年に請求権を否定はしなかった。しかし、個別的民事訴訟を通した権利の行使は、平和条約などが「予測しがたかった過度な負担」という理由で棄却判決を下した。権利は認めるが、それにともなう賠償判決はできないという詭弁で、日本政府の現在の立場の根拠になった。

 日本共産党の機関紙「赤旗」は、河野外相らの衆議院答弁で「韓国最高裁(大法院)判決について『韓日協定に明らかに反する』という安倍政権の主張が根本から揺らいだ」と指摘した。多くの専門家たちは、日本政府の「裁判上の請求はできないという主張」に対しても国際的常識に反すると指摘している。戦後補償関連専門家の山本晴太弁護士は「韓日協定により個人請求権はあっても裁判上の請求は受け入れられないという(日本政府と)日本最高裁判所の判決が国際法の常識に外れている」と指摘した。
(引用ここまで)

つまり、「植民地の被害者に請求権を認めれば、日本国民の被害者にも請求を認めねばならなくなるので、どちらも切り捨てる」との意味だ。

 

概要|全国空襲被害者連絡協議会
東京大空襲訴訟原告団東京大空襲訴訟弁護団刊「空襲被害者等援護法Q&A」より抜粋)
https://www.zenkuren.com/aboutus.html

から要約する。

これまでも空襲被害者など、一般の戦争被災者は、、国家の非常事態である戦争では、皆被害を受けたのだから、生命・身体・財産に何らかの被害を受けてもそれは受忍(我慢) しなければならないという理屈=「受忍論」として切り捨てられています。
この論理が最初に生み出されたのは、在外財産の補償問題についての1968年11 月27日の最高裁判決です。

しかし、最高裁も戦傷病者・戦没者遺族等援護法の適用範囲の一定の拡大など、不十分ながらも戦争被害者への補償が拡大したのを受け、1997年年のシベリア抑留者判決では、「補償の要否及び在り方」「については、国家財政、社会経済、戦争によって蒙った国民の被害の内容、程度等に関する資料を基礎とする立法府の裁量的判断に委ねられたものと解するのが相当である」と判示するに至りました。

 

但し、シベリア抑留兵は、2010年の「戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法(シベリア特措法)」によって、抑留された期間に応じて、元抑留者を5段階に分類し、1人25万~最高150万円を一時金として支給することとなった〈財源は、独立行政法人平和祈念事業特別基金」の約200億円)。

だが、受け取った平均は40万円程で、帰還後もスパイと疑われ尾行などを受け続けた、日本国内でのひどい扱いも含めれば、安すぎる。

そして、恩給も抑留時の賃金も受け取っておらず、日本兵として徴用されても差別をされていることは、知っておくべき事実だ。

蟻の兵隊」など、現地除隊とされた日本兵も恩給は受け取っていないことも。

 

一方、日本国政府は、1952年に独立を回復するや、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」を成立させる。

更に翌年、敗戦後GHQによって停止させられた軍人恩給を復活させた。

これによって、1952年以降、旧軍人軍属や遺族らに対する補償、援護は累計で50兆円を超える。

再度書くが、民間人被害者にはゼロである。

 

東京空襲に関する2009年12月14日の東京地裁判決は受忍論をとらず「一般戦争被害者に対しても、軍人軍属と同様に、救済や援護を与えることが被告の義務であったとする原告らの主張も、心情的に理解できないわけではない」とし「一般戦争被害者を含めた戦争被害者に対する救済という問題は、様々な政治的配慮に基づき、立法を通じて解決すべき問題」と判断しました。


更に2011年12月7日の大阪地裁判決は、「戦争被害に対する戦後補償の問題を見ると「戦後被害を受けた者のうち、戦後補償という形式で明確に補償を受けることができた者と、必ずしも、戦後補償という形式での補償を受けない者が存在するという状態が相当期間継続しており、上記の差異が憲法上の平等原則違反を全く生じさせないと即断することはできない」 とし、更に「政策的観点において、他の戦後補償を受けてきた者と同様に、原告らに対する救済措置を講ずるべきだとの意見もあり得る」としました。

 

このように裁判所が「立法でやれ!」としているのに対し、政府や国会は、戦後73年を経てもなお、救済措置を一切とっていません。

 

ちなみに他国では、一般被害者救済措置はとられています。

<イギリス>
1939年に制定された「人身傷害(緊急措置)法」 が、第二次世界大戦中の一般市民の戦争被害補償の根拠法規になっています。

 

<フランス>
フランスでは、「軍人廃疾年金及び戦争犠牲者に関する法典 第3 編 民間戦争犠牲者に適用される諸規則」の「第1章 民間戦争犠牲者」の規定が、第二次世界大戦中の一般市民の戦争被害補償の根拠法規になっています。


<ドイツ>
「戦争犠牲者の援護に関する法律」(1950年)に基づいています。


<イタリア、オーストリア
その他、イタリアでは、1978年戦争年金統一法典により、また、オーストリアでも1957年の戦争犠牲者援護法により、軍人・軍属と民間人を区別することなく、戦争犠牲者に平等な扱いをしています。

 

一般人への補償を発言すると、「戦勝国だから・・・」という人もいるのだが、被害者救済を放置している日本政府は、三国同盟とはどこの国のことか、小学校で学ぶべきだね。