アメリカ中間選挙 知事編
中間選挙では、上下院議員選挙の影に隠れた形となっているが、
全米50州のうち36州(共和党26、民主党9、無所属1)が対象となる州知事選の改選もあった。
非改選はお互い7州で、
共和党33→18+7=25,民主党16→15+7=22、無所属1→?、未確定3となっている。
この州知事選挙が、2020年大統領選挙に大きな影響力を持つ。
というのは、
ゲリマンダーなる「特定の政党や候補者に有利なように選挙区を区割りする」権限を知事が持つからだ。
選挙区の区割り変更とゲリマンダー 政治山
2015/7/15
https://seijiyama.jp/article/news/nws20150715-001.html
より
青党と赤党の支持者数が3:2であった場合、
区割りによって、青党は1~3、赤党は1~2議席へと変化する。
2016年の大統領選挙で具体的に見てみると、
ヒラリー=クリントン氏の得票数は6584万4954票で得票率は48.2%。
ドナルド=トランプ氏は6297万9879票(46.1%)を286万25075票上回っている。
最も得票したのは、バーニー=サンダース上院議員選挙が民主党の代表とならず、失望した人も含め、選挙に行かなかった1億人だけれども・・・
2000年には、民主のアル=ゴア氏がブッシュJr.氏を約54万票上回ったが、大統領選挙では破れた。
このような逆転現象が起きるのは、ネブラスカ州とメーン州を除く全ての州で、得票が最も多い候補に全ての選挙人が当てられる「勝者総取り」ルールになっているからだ。
そのため選挙戦では、選挙人が多く、両党とも勝利する可能性がある州が鍵となる。
今回の州知事選挙でも、民主党が激戦州の中西部カンザス州(6人)で女性候補を立てて勝つなどして7人増やしたものの、激戦州のフロリダ州(29人)とオハイオ州18人)を逃したのは痛い。
2016年大統領選挙でのトランプ氏は、フロリダ、オハイオ、ノースカロライナ(15人)などの州での勝利したことが、大統領への道をひらいた。
ヒラリー氏の勝利が大宣伝されていたのは、元々民主党候補が強く、選挙人も55名いるカリフォルニア州の得票差が400万票差もあったからです(同州のヒラリー氏総得票数802万票)。
2012年のオバマVSロムニーのカリフォルニア州での得票差は300万票ですから、更に盛り上がりを見せたことになりますし、都市部での勝利予想はメディアの評価も変えます。
田舎の地域を丹念に取材している記者がいれば、トランプ氏の勝利を予想できたでしょうし。
結果、この「400万票」は、全米得票差の約290万票を吸収しますので、ヒラリー氏はカリフォルニア州でメチャクチャ票を取りすぎたが、全米各州で見ると負けたと言えます。
選挙人の総数は、上院と下院の議席数の合計と同じく435名。
州選出人数は、最大のカリフォルニア州からアラスカ州など8州(コロンビア自治区含む)の3名まであり、今回の中間選挙でも都市部である東西海岸沿いが民主党、中西部の農村地帯が共和党が勝っているように、支持基盤地域も被ります。
そして、大票田でヒラリー氏が勝っても、塵も積もれば・・・と、トランプ氏が選挙人数では勝ってしまったのです。
選挙人数で見れば、
トランプ氏306人のうち、304人が彼に投票。
テキサス州で2人が造反し、ロン・ポール元下院議員とオハイオ州のジョン・ケーシック知事に投票。
ヒラリー氏232人のうち、227人が彼女に投票。
ワシントン州とハワイ州で計5人が造反し、3人がコリン・パウエル元国務長官に、1人はバーニー=サンダース上院議員に、1人はネイティブアメリカンの活動家に投票しています。
この選挙人選抜の投票区を、ゲリマンダーで知事が変えるのであれば、当然、自らの正当に有利に変えるでしょう。
そう見れば、2020年大統領選挙も民主党は苦しい立場となりそうです。
2016年、選挙に行かなかった1億人を、どのように掘り起こすか?
それは、